色彩は「もう一つの心の言葉」です。 色は私たちの感情や記憶と深くむすびつきながら日々を豊かに彩り、心身に様々な作用を及ぼしています。色を使った表現を通して心を元気にしたり自分らしさを育てたりするアートセラピーを社会に活かしていきたいと思っています。

失敗は消さなくていい!!

今年ももう残りどれくらいだっけ?というような季節になってしまいました。
なかなか子どもたちの作品紹介もできず、いろんなことに追われる日々です。

この新しいアトリエになって良かったことはたくさんありますが、なかでも卒業した6年生が中学生になってもアトリエをやめない!というのは嬉しい発見です。

自宅でやっていたときは、なんとなく中学生になると離れていくということが普通でした。

でも今年中学生になった子たち(5人)は、月に一回程度になっているものの、みんな通ってくれています。通りに面していることや専用の場所であることが、よりオープンで来やすい感じになっているのだと思います。


その中の一人、中一のS君がいまはまっているのが、ペンスケッチ。絵の好きなS君に、2003年に出された永沢まことさんの本を紹介したところ、おもしろそう、と取り組んでくれました。

鉛筆などの下書きをせず、モチーフをイラストペンなどでいきなり描いていきます。
うまく描けなくてもOK!どんどん描いて、少々曲がったりゆがんだりもかえって味がある。

最初は「えー、下書きなしなのー?」といってたS君も、意外とおもしろかったようで
「センセ、これいいね!」
「らくだわー」
「失敗を消さなくていいんだ!!」
とすっかりペンスケッチのとりこに。

そうか!
「失敗を消さなくていい!」そんな発想、そもそも私には無かった!
絵の好きなS君の「いい練習」になったらいいなというくらいの気持ちでした。


鉛筆の下書きを消してはまた同じところに描いて、うまく描けない、だからイヤという経験はだれもが思い当たるでしょう。
S君もそう言ってました。
失敗は消して直してまた消して。これでは面白くないのはあたりまえ。
下書きなしのペンスケッチは描き直すということができません。
だからこそ、そこに楽しさも大胆さもあるのです。


ペンスケッチのおもしろさ、新たな視点をを中学生のSくんに教えられました。
子どもたちの心はやわらかくてあたたかい。
S君のスケッチはどんどん力強くなっています。芸術の秋です。




アトリエ、ガラス戸の外の空も見える